不倫(不貞)行為に対する慰謝料請求の条件(2)
夫(妻)が不倫(不貞)行為をしているからといってただちに慰謝料を支払ってもらえるわけではありません。
不倫(不貞)行為に基づく慰謝料を請求する場合、一般的に以下の条件を満たしていることが前提となります。
4.時効によって慰謝料請求権が消滅していないこと・除斥期間が経過していないこと
不倫行為に基づく慰謝料請求権は、不倫の事実を認識し不倫相手を知った時から3年が経過すると時効によって消滅します。ただし3年の期間経過による時効によって権利が当然に消滅するわけではありません。
時効は、時効の利益を受ける者(加害者)が「時効なので慰謝料を払わない」等として時効を主張(援用)することで初めて成立し、時効期間の経過後であっても加害者が慰謝料を支払うことの意思表示をすれば慰謝料の支払義務が発生します。
さらに、時効は中断することができます。
たとえば、時効が消滅する前に加害者に対し内容証明郵便等を送付することで慰謝料を請求すると一旦時効が停止され、内容証明郵便送付後6ヶ月以内に訴訟を提起することにより時効が消滅することを防ぐことができます。
また、裁判上の請求(支払督促の申立て、民事調停の申立て、即決和解の申立て、訴訟の提起)をした場合には、その時点で消滅時効が中断し時効の進行がふりだしに戻ります(それまで経過していた時効期間が無意味になります)。
また、時効と類似の制度として、除斥期間の規程があります。不倫行為のときから20年間が経過すると除斥期間の経過により慰謝料請求権は行使できなくなります。この場合には、援用や中断は適用されません。
5.慰謝料請求権を放棄していないこと
示談書や調停・離婚協議書等の書面によって慰謝料を請求しないと約束していたことが明らかである場合には慰謝料請求権は認められません。
また、不倫した夫(妻)から相当額を受領している場合にも慰謝料請求権が認められないか、または、限定的に認められるにとどまります。この場合は不倫相手の慰謝料支払義務も消滅するとされます。
6.不倫行為の証拠があること
請求する相手が不倫行為を認めている場合を除き、慰謝料の支払いが認められるためには証拠が必要です。
これは裁判の場合に限らず裁判外の示談の場合でも同じです。単に「怪しいから」といった理由だけで請求をすると相手から損害賠償請求をされる可能性もあるので注意が必要です。
この証拠集めに関しては、もちろん請求する相手がお金を払うことでご自身の気持ちがすっきりするのであれば問題ありませんが、特に興信所等に調査を依頼する場合には慰謝料として認められる金額よりも興信所に依頼する金額が上回ってしまい、費用倒れになることもあるということにお気をつけ下さい。
当事務所では、ご相談時にそのような見通しを含めてアドバイスをさせて頂きます。
その上で依頼をするかどうかをご判断して頂きますので安心してご相談ください。
併せてお読みいただきたいコンテンツ
→ 当事務所が慰謝料請求をお手伝いさせていただく理由
→ こんなときは弁護士へ相談を
→ ご相談の流れ
弁護士がじっくりお話を伺います。ご希望の方は「慰謝料の相談予約をしたいのですが」とお伝えください。